M1グランプリ2024の総評の後編である。現在、パソコンがイカれてて前編のリンクを貼れずに申し訳ない。今回は6組目から。
⑥ジョックロック
最近流行りの漫才スタイルのツッコミでおとすスタイル。おそらくだけど南海キャンディーズの山里氏のツッコミでおとすあのやり方が出て以来急激に増えたこのスタイル。
それまではツッコミは死に役みたいなのが主流だったのだ。わざわざ好き好んでツッコミなんてやりたくないしツッコミは目立たないし地味なのが当たり前だった。それが南海キャンディーズの出現で一変した。ツッコミのフレーズでおとすのは革命でツッコミに光が差した一種の発明だ。
このコンビもその系譜を辿っていてツッコミのやり方の変化球である。東京ホテイソンやキュウやカミナリに見られるオーバーなツッコミで魅せるスタイルだ。
ただツッコミのその構えも何回か見ると単調でもっと捻りが欲しくなる。ガチガチのシステマテックで柔軟性が無いというか。あとボケがそこまでぶっ飛んでないからツッコミ待ちみたいな構造になっていてツッコミが来るまで爆笑が来ない構造上の欠陥を審査員も指摘してた。
たとえばフットボールアワーの漫才ならボケの時点で発想がぶっ飛んでてボケ単体でも充分おとせるがツッコミでもさらにおとせて笑いを増幅するスタイルになってる。こうなると掛け算で笑いは終盤に膨らんでいく。
ジョックロックの漫才は掛け算にまでなってなくて足し算どまりだったと思う。ゆうじろー氏が審査員の指摘に素直に僕が面白くなります!と答えてたのがしびれた。なんかまだまだ面白くなりそうなコンビだ。
⑦バッテリィズ
予想外のダークホース。それまで知られてなかったと思われるコンビが今大会で特大のジャイアントキリングを果たす。
モノを知らない人にモノを教えるという漫才が面白くて無限の可能性があるのを僕らに教えてくれた漫才である。その教える作業で思わぬアンジャッシュ(すれ違い)が発生するのが面白い。
アホ漫才と評されるがアホというよりもっと純粋で全力で生きてるジャンプの主人公のような少年にモノを教えてるように見える。また偉人の名言っていうネタのチョイスもいい。
洒落せえこと言ってんじゃねー!オレのようにアタマ空っぽでも人生楽しく生きられるんや!みたいなエース氏からのメッセージが偉人の名言にたいしてのカウンターとして放たれて爽快な気持ちにさせられる。
バッテリィズという青春っぽいコンビ名とも相まって一種の青春ドラマを見たような爽やかな気持ちにもなったしモノを知らない人にモノを教えるという古典的なやりとりにまだこんな新鮮ない面白さが眠ってたんだと発見させられた最高の漫才だった。
全部聞き取れたのに!は汎用性が高そうで僕ら素人でもそんな場面で使えそうな発明である。なんか一応話は聞いてて前向きに理解しようとしてるけど理解力が追いついてないサマを表すのにふさわしいフレーズだ。
⑧ママタルト
こちらも最近よく見かけるツッコミ主導の漫才でデブキャラの肥満氏が銭湯に行くというデブネタをいっぱい掘り起こせそうなシチュの漫才をしていた。
審査員も指摘していたがそこまで声張るほどではない弱いボケにたいしても同じトーンでツッコんでいてストレート一本で勝負していた。ボケもデブネタの想定内というか全体的に小さくまとまってた印象。
ツッコミ主導ならもっと強烈なワードが欲しかった。真空ジェシカの必殺ワード連発を先に見てるだけにもっと欲しくなる。漫才のシチュも肥満氏の体格も完璧で面白くなる要素満載なはずなのにやってることはベタで想像を超えて来なかった。
⑨エバース
今回でめちゃくちゃ2本目見たかった惜しいコンビ。桜の木の下で○年後また再会しようというベタなネタかと思いきや意外な話に発展する漫才。
最初にうるう年に約束したけどこの場合どうする?と質問した時点では正直、なんか凡庸な発想だなと(僕もそれを思い付いてた)思ったけど流石に末締めだろのワードで一気に引き込まれた。このまんまうるう年の話を広げずに次の展開に行ったのも良かった。
んでだんだんとボケとツッコミが逆転して入れ替わっていくという面白さにどんどんハメられてしまう。ブラックマヨネーズとかさや香を見てるみたい。無理難題ふっかけ漫才みたいな。
ブラックマヨネーズもさや香も相方からの問題提起に最初は常識人の立場からなんとか解決しようとするがあまりの難題に自分がバグってしまい壊れてきていつのまにかどっちが常識人かわからなくなって思わぬ展開に転がるみたいな構造だった。
このコンビはブラックマヨネーズやさや香ほどバグって壊れてないが相方から無理難題に窮地に追い込まれおバカな解決法を提示するサマがツボにハマりまんまと彼らの術中にハマった。
もっと中盤あたりで見たかった漫才だ。みんなが疲れてきた終盤ではきつかったかも知れない。上戸彩も言ってたが情景が浮かんでくるような描写の丁寧さで小説を読んだような感覚に陥ってしまう。
⑩トムブラウン
無秩序、ナンセンスの申し子でM1グランプリ優勝を狙うこと自体ナンセンスに思えてくる。それくらい毎回点数をつけにくいぶっ飛び具合である。ただ去年の敗者復活戦のネタは良かった。個人的にはアレで決勝行って欲しかった。
今回のネタも去年の踏襲というか段階を踏んでどんどんボケを足していくスタイル。うーむ。今回はぶっ飛びすぎてよくわからなかった。
去年のネタも無秩序、ナンセンスでわからないことに変わりないけどボケに必然性が感じられた。今回はわからないボケもあってついていけなかった。なんで扇風機で布川氏の顔が回っているのか。ナンセンスはナンセンスなりにも人に伝わるようにしないといけないよなと思う。
そう考えると去年のネタの方がナンセンスなりにもやりたいことは伝わったしわかりやすかった。彼らも途中で優勝はないなと感じたのか終盤ではこのネタ自体諦めたように見えた。
というわけで今回は5組紹介した。前回の5組と合わせて最終審査してもやっぱり令和ロマンがアタマ一つ抜けてたなと感じた今大会だった。