ゆるゆるサラリーマンのよろずブログ本舗

この前までハードに生きてきたが、ゆるく生きようをモットーに生きてるユルリーマンのブログ。

大人になってわかったスラムダンク金平の心境

大人になってから妙にこの話やキャラに共感できるって事がある。僕はスラムダンクが好きである。この漫画は年代を経ていくにつれて共感するキャラが変わるもしくはイマイチ存在意義がわからないキャラの意味がわかったりする。

 

まだ血気盛んな20代の頃は仙道や流川みたいな常人離れしたスターキャラに共感して自分も実際に何か物事に取り組む際にメンタル面で参考にしたりしていた。

 

逆に魚住とかゴリみたいな縁の下のチカラ持ちみたいなキャラはその頃はよくわからなかった。あとは沢北とか牧とか森重とか派手でわかりやすくゴリゴリに点を取れるプレイヤーしか見てなかった。

 

要するに僕もその頃はスターしか見てなかった。実際にスターが試合を動かしているから脇役には興味なかった。ところが実際には現実として世の中はスターだけで回ってるんじゃないのを僕自身も知ることになる。

 

スターだけが試合を動かしていると思い拗らせたまんまだった谷沢みたいなキャラも出てくるのがスラムダンクのいいところだ。バスケはあくまでチームプレイのスポーツだ。自分がスターになれなくてもチームが勝てればいい。

 

スターになりたかったけどセンス抜群な仙道やライバルの赤木を間近に見て諦めた魚住とかも僕が30代くらいになってからようやく良さがわかるようになった。自分が天才やスターになれない残酷な結果を突きつけられてなお自分が出来る仕事を見つけて黒子に徹するのは素直にカッコいいと思う。

 

その流れでというかさらに年月を経てもっと渋いキャラが妙に好きになった。みんなは結構嫌っているだろうが大阪の豊玉戦の話だ。豊玉戦はヤンキー漫画を彷彿とさせるスラムダンク屈指の目に毒な話である。

 

毛嫌いする人も多いと思う。バスケに関係ないとこで煽ってみたり暴言や時に暴力を振るった描写が多すぎる。だがこの豊玉戦は山王戦や海南戦なみに含蓄を含んだエピソードである。

 

その豊玉の監督の金平についての話である。僕が若い頃はこの豊玉戦もそうだが金平の印象も最悪だった。このエピソードの意味がわからなかった。

 

だけど年月を重ねるにつれて金平が上から結果を出すことを求められた中間管理職の心情を投影していてこのキツさが自分でもわかるようになった。金平の悲哀は世の多くの会社員の中間管理職の悲哀を全て映しているようだった。

 

最初の監督就任の挨拶でやらかして以来、金平は選手からずっと軽視されてきた。試合前のミーティングでも金平の顔に笑顔も余裕もない。何かに追われているように何かに怯えているように泣いてるようにも見える。

 

桜木のおかげでいつもわちゃわちゃしていて自由でギスギスしてない湘北高校とは大違いである。(ただ、湘北高校は桜木がいるから流川も冗談を言うし桜木が喋り出さないと黙ったままでいそうなメンバーばかりなのでムード作りは桜木頼りになっている)

 

選手も金平が喋っていても自分を見て喋ってくれない。一応監督と認識してはいるが無視して自分たち選手だけでミーティングを済ませてしまう。完全に崩壊している。ヒコイチの同級生のテルオが後半のミーティングで崩壊したのに気づいたがもっと前からとっくに崩壊していた。

 

金平自身も崩壊したのは後半に南と岸本のちょっとしたいざこざを監督として止めに入ったシーンだ。そもそもここまで金平は監督としては一度たりとも間違った事はしていない。選手たちに総無視されるような筋合いは全くと言ってなかった。その金平がはじめてあやまちを犯す

 

南と岸本を止めに入ったのにお前は黙っとれと暴言を吐かれて金平はついに壊れる。暴言を吐いた岸本を試合中に殴り吠える。その顔はようやく今まで誰にも言えず隠していた苦しみを晴らしているようにも見えた。

 

結果が出ないとクビという葛藤と高校生たちが言うことを聞いてくれない悩みをずっと抱えていたのがわかるような感情を爆発させるシーンである。金平はずっと不運だった。それでも与えられたら使命を全うしようとしていた。それがわかるだけにこのシーンは名シーンだ。

 

正直、スター選手の沢北や流川のスーパープレイには現実離れしすぎて共感出来ないがこの金平のような葛藤は誰もが経験しそうな起こりうるエピソードである。

 

その後の金平と豊玉戦の行方は大方、想像する通りである。だが途中で金平監督の前の監督の南や岸本が愛する北野が応援に駆けつけ豊玉は急に息を吹き返す。

 

金平もあれだけ選手を殴って怒りを露わにしながらも南や岸本たちを嫌いになれないと本音を漏らす。自分に任させた選手に対して愛着がないわけじゃなくて最後まで見捨てられないと告げ南のスーパープレイに涙を流す。

 

だが時すでに遅し。息を吹き返した豊玉だったが巻き返す時間が足りずに僅差で負ける。正直、山王が負けたのは何も思わなかったが豊玉が負けて泣きながら帰るシーンには気の毒という言葉が当てはまって思わず泣ける。

 

次こそはラフプレーも暴言もやめてマトモなチームになって帰ってこいよと思わざるを得ない。