挑戦的な姿勢を感じるアルバムタイトルである。復帰第2作目はキャッチーな部分は取り除いて今やりたい事をやりたい放題詰め込んだそんな勢いと自由奔放さが全面に押し出されている。
僕はこの異色作を完全には理解出来ないでいる。この異色作を最高傑作と唱える人はいるが僕にはまだこれをそこまで評価出来るほどの感性は持ち合わせていないみたいだ。僕的にはシフクノオトやワンダフルワールドのようなキャッチーで完成度の高い作品の方に惹かれてしまう。
いつもはあった最初のオープニングのインストゥルメンタルも今回はない。有無を言わさず一曲目から聞け!という感じである。前置きが長くなったがレビューの方に入っていく。
1.CENTER OF UNIVERSE
パワフルで元気を貰える楽曲。アルバムの中ではかなり完成度高いの一品。最初の静かな入り方からサビの後の展開に驚かさる。(誰かが予想しとくべきだった展開)とい歌詞があるが誰もが予想できない展開だった😅まさにメタ展開
それと同時によく注目して欲しいのは韻の踏み方がえぐいくらいレベル高い。
素晴らしい 気晴らし 正しい
愛を補助 ハイボンジュール
深海で悩みと絶望の淵に彷徨っていた男がたどり着いた境地は全ては"捉え方次第"そして"僕こそが中心です"文句ナシのオープニングチューン。ただある程度ミスチル知ったファンでないとこれも取っつきにくいかも知れない。
2.その向こうへ行こう
シンセや打ち込みを入れた楽曲。うーむ。挑戦的だなあ(笑)取っつきやすさは全くない。でも全然聴いていられる。不思議。何気にサビのコーラスが好き。歌い方が色気たっぷりでそこに注目してみて。
3.NOT FOUND
インターネットが有線LANで接続されててまだ今みたいになる前の頃、Yahoo Japanが検索エンジンのトップだった。その頃に古いホームページを開いたらよくこの文字が出てたな。それはさておき。
ドラマの主題歌にもなっていた。僕はそんなに好きではない。それかあまりこのアルバムの雰囲気に合ってないのかなあ。
4.スロースターター
ロック色の強いナンバー。東京生まれの桜井和寿が田舎から出てきた野心満々な男を歌うというのも奇妙な組み合わせ。今作は奇妙な迷作とも呼ぶべき曲がアルバムの中に沢山散りばめられている。それが僕の中でもこのアルバムの評価を難しくしている要因の一つでもある。
5.Surrender
とことん暗い深海寄りの楽曲。スロースターターから来てこの曲の並びは正直キツい。失恋ソングだがワンダフルワールドのbird cageの方が芸術性が高くて壮大だからそっちの方が僕的には好きなのだがこの曲のいい所は歌詞。
HEROであったような情け無い男の描かれ方が嘘偽りなくて清々しい。程よくロックが好きな僕はj-popで描かれるような嘘八百の聖人君子のような主人公の描かれ方がマジで嫌いだ。
"ただのお人好し"
"笑い飛ばす事が出来たならどんなにかグレイトな奴と思われるだろう?
でも僕は違う"
と情け無い本心を包み隠さない所が素晴らしい。これぞ人間らしさ。情け無くて惨めな姿もそれも紛れもなく自分自身の投影である。
6.つよがり
小気味良い名曲。ようやく取っつきやすくてわかりやすい楽曲が来た。人気の曲でもある。
7. 十二月のセントラルパークブルース
歌い方といい歌詞といいかなりの迷曲。なんとも形容しがたい。ミスチルのQにはホンマにこういう評価が難しい曲がよく出てくる。僕のミスチルアルバムレビューが前回から数えて遅れた要因でもある。
8. 友とコーヒーと嘘と胃袋
迷曲その2。オープニングの入り方だけを聴いていると雰囲気良さそうなオシャレなかっこよい曲に聴こえる。だけどクセが強いんだよなこの曲。
途中に桜井和寿の語りが入っているんだけど初見では何を言ってるのかサッパリな語りである。だけど何回も聴いてるとこの語りがなくては物足りないように感じる。
人間の嫌なとこも汚い部分も全部飲んでしまって僕の胃袋よ強靭になれと歌う。前向きになれる不思議な曲。
9. ロードムービー
文句ナシの名曲。迷曲がたびたび出てきて戸惑うけどこういう名曲があるのもQの懐の深さである。青春全開でやや悩みを抱えたリアルな男女のラブソング。
歌詞が凝っていて情景描写がとても上手い。まるで情景が浮かんでくるよう。
10. Everything’s made from a dream
いい曲なんだけど名曲というには足りないようなそんな曲。壮大なスケールであるけど取っつきやすさはない。この曲にも途中で語りが入っている。マニアックな曲が多いこのアルバムを象徴してるかのような曲。
11.口笛
18枚目のシングル曲。これは心地よい青春丸出しのラブソング。名曲。"頼りなく二つ並んだ不揃いの影"という最初のフレーズで一気に引き込まれてしまう。この辺の描写が上手いんだよなあ。未熟でなんの力も持ってない10代の男女2人を評するのにこれ程までに気持ちいい表現があるだろうか?ちなみにこの曲が出た頃の僕はギリギリ10代だった。
そして口笛というフレーズはサビ前にチラッと出てくる。そしてサビのフレーズが胸を打つ。
"さあ 手を繋いで 僕らの現在が途切れない様に"
初見でこのフレーズを聞いた瞬間泣きそうになった。そうだよなぁと。今この瞬間が途切れてまた会えなくなる前に手を出して繋いでおこうと。なんかオーバーラップして泣きそうになる
"夢を摘むんで帰る畦道 立ち止まったまま"
なんて上手い表現なんだろう。夢を摘むんでかえる畦道。歌詞の世界観が何処か頼りない若者が僕らの現在が途切れないようにとちっぽけな願いを歌っていてそのピュアさに泣けてくる。
12. Hallelujah
壮大なスケールの名曲。僕はこのアルバムの中で一番好きである。ライブでもたびたび歌われていて本人たちも多分気にいってる。曲の入り方から壮大さを感じれる。
どんな時代になろうと人類が滅亡しようとも僕の君への思いは変わらないと巧みな表現で歌う。まるでHEROで歌われていた情け無い主人公とは対極にある強い意志を持った主人公である。
13.安らげる場所
地味な曲だけど最後にふさわしい静かな曲。さんざん途中に曲で遊びまくっていたけど口笛からハレルヤでしっとりさせてその流れでさらにしっとりさせて終わるというなんだかズルい。
○結びに
ホンマは9月くらいにやる予定だったミスチルのアルバムレビューだったけどこのQは難産だった😅というのも中盤に入っている迷曲の評が自分の中でも定まってなくてかなり悩んだのである。次回はいよいよ名盤ワンダフルワールドである。次回はいつになるかな?多分来年のアタマくらいに出来たらとは思っている